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CSRの脱構築(第4回)-プロスポーツのCSRを考える その2-

2012年01月15日

【CSRと金勘定~その1~】
 前回、プロ野球を題材として取り上げた。その流れで、今回もプロ野球から材料を拾ってCSRについて考えてみたいと思う。その切り口は球団経営である。


 以前ほどではないにしても、この時期になると野球選手の契約更改のニュースがメディアを騒がせるようになる。プロ野球の選手だけ、なぜあのように年俸が実質的に公開されるのか、筆者は甚だ疑問であるのだが、これだけ長い間続いてきてしまうと、ある種の季節の風物詩のようなものかもしれない。とにかく、タイトルを取ったから年俸が何倍にもなるとか、優勝したから億単位でアップするとか、FAが制度化されてからは移籍して数億円の年俸であるとか、毎年景気の良い話が聞かれる。たとえば、沢村賞を獲得した楽天の田中選手は1億2千万円アップの3億2千万円、チームが優勝して盗塁王を獲得したソフトバンクの本田選手は9000万円アップの2億円、ソフトバンクから巨人に移籍する杉内選手は4年で20億円、単年度では5億円と、こちらとしてはため息が出るような数字である。もちろん、日の当たるところがあれば影の部分もあるわけで、このような方々は一握りなのではあろうが、この不景気の最中でうらやましい限りである。


 そんな話を聞くとさぞかし野球界は好景気のように思えるが、それどころではないというのは周知の事実である。正式に公表された数字がないので何とももどかしいところではあるが、随分と前から野球の球団経営は万年赤字が当たり前ということになっている。そんなことで、ネットで簡単に拾えるところから実際のところはどんなものであろうかと、わかる範囲で調べてみた。すると、驚くべき事態であることが分かった。


 一例として、昨年日本一となったソフトバンクホークス(以下、「ホークス」とする)を見てみよう。ネットの記事によれば、ホークスの年間の売上高は2010年度で247億円、その一方で選手一人当たりの年俸は5278万円とのことである。直近のホークスのHPによると、選手の数は68名。平均年俸と選手の数との間で1年ほどのギャップがあるので、正確な数字ではないのではあるが、1年間で選手の数が大幅に変わることはないと想定して、選手の人件費を算定してみると、単純に掛け合わせるだけで359億円となり、これだけで110億円以上の赤字である。


 68名の選手の数に含まれるのは、HPの選手名鑑に記載のあった投手、捕手、内野手、外野手の選手の合計で、監督やコーチは含まれていない。球団を構成する人員としては、このほかにもマネージメントや事務方のスタッフもいるわけだが、これももちろん算入の対象にはなっていない。そのうえでこの数字である。ましてや、ここで検討しているのは人件費だけである。球団経営にはもちろん、このほかの運営費もあるわけで、これを考えると膨大な赤字を抱えていることになる。


 昨シーズン、ホークスは優勝するために戦力を積極的に補強した。それが故に、以上のような結果を招いたと考えられるかもしれない。確かに、ホークスの平均年俸はかなり高い。だが、驚くなかれ、12球団すべてが同様の状況なのだ。阪神タイガースとオリックスバファローズについては売上高が不明なので分からないのだが、これらを除く10球団についてホークスと同じ方法で計算してみると、ひどいところで200億円以上、少ないところでも80億円前後の赤字となっている。


【赤字企業のCSRとは何か?】
 もっとも、この数字がただちに現実を反映しているかといえば、それは定かではない。筆者が思うに、選手一人当たりの年俸の算定方法がさっぱりわからないので、果たしてこれに単純に選手の数を掛け合わせるのが正しいのかどうか、判断できないのである。新聞報道によると、巨人、阪神、広島の3球団は黒字を確保しているらしい。この3球団のうち、前述のように阪神は売上高不明のため算定不可能であるが、巨人、広島の2球団については、筆者の計算によるとそれぞれ、89億円、76億円の赤字である。さきほど、「少ないところで80億円前後の赤字」と書いたが、黒字と報道された2球団がこれに該当する。これらの事情から推察するに、筆者がはじき出した数字に80億から90億程度を上乗せするのが妥当なのかもしれない。その場合、多くの球団の収支は、億単位ではあるが二けたの範囲にとどまる。しかしそれでもなお、100億円以上のマイナスとなる球団が複数存在する。


 このような事態を、CSRの観点からどのように考えるか、というのを今回のテーマとしたかったのだが、数字を羅列するだけで与えられた1回分の紙面が尽きてしまった。なのでこの続きは次回に持ち越すこととする。今回はプロ野球の話に終始してしまったが、何回かに分けて続ける以上、もう少し話を広げて展開することとしたい。以降は次回とする。


筆者:円寂

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