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CSRの脱構築(第5回)-プロスポーツのCSRを考える その3-

2012年02月15日

【CSRと金勘定~その2~】

 前回はプロ野球の球団の収支について取り上げた。数字の羅列のみで終わってしまい、全体で何をしたいのかわからないので、1回で収まらない場合は要旨を毎回、記載するようにとの忠告をいただいた。言われてみて初めて気が付いたのだが、確かにそのとおりで、ご指摘いただき感謝申し上げる。自分の書いた文章を公表するというのは初めての試みなので、至らないところがたくさんある。よって、お気づきの点は何なりとご意見をいただければ幸いである。できる限りの対応はする所存である。


 本題に戻って、当然のことながら、筆者は球団経営の収支が赤字であることのみを問題としているわけではない。これを取り上げたのは、表題にある通り、CSRと金勘定の問題を考えたかったからだ。CSRに欠かせない構成要素としてSustainabilityを挙げるのは異論はなかろう。その一方で、CSRには採算度外視で社会貢献という考えを持つ向きもあるように見える。この点についてプロ野球の球団収支を切り口に考えてみよう、というのが筆者の主眼である。


【Sustainability?持続可能性?】
 ところでまた本題からそれることになるが、Sustainabilityの訳語としては「持続可能性」という言葉がほぼ定着しつつあるように思える。かの「どじょう総理」もこの言葉がお好きと見えて、国会演説でも何度か「持続可能な社会保障」といった形で使っているようだ。しかし、筆者はこの訳語にも違和感を覚える。そのためこの時点では原語のままで表記する。この点については後程触れることにする。


 前回の内容を要約すると以下のようになる。プロ野球の球団の収支は全12球団中9球団で赤字、その赤字の内容もすさまじいもので、10億単位の赤字を計上しており、これが通常である、ということである。


 プロ野球の歴史は実質的には戦後間もなくからと考えてよいと思うが、その間ずっと、赤字経営は恒常化していたようである。考えてみれば、何十年にもわたって10億単位の赤字を計上しているというのはものすごいことだ。この上さらに、新規に球団経営に参入する場合、30億円もの「加入料」を支払うことになるらしい。最近では規約が改定されて、10年以上、球団を保持すればこの30億円の内の25億円は預託金として売却時には返還されることになったらしい。そうはいっても途轍もない金食い虫である。これではよほどの資金力がないと、新規の球団経営参入は不可能である。始終、資金繰りの問題ばかり目にしている筆者からすれば、まさに「金をドブに捨てる」所業に等しいと見えてくる。


 筆者は銀行員として社会人生活のスタートを切ったのだが、その時期はバブルがはじけて銀行に不良債権が山のように噴出してくる初期の段階であった。会社の倒産が相次ぎ、筆者の担当先でも億単位の実損が出て大騒ぎしたもので、「損した分はお前が返済しろ」とメチャクチャなことを言い出す上司もいて、現場はかなりすったもんだしたものだ。約20年ほど前のことであるが、それ以前は会社の倒産というのはそれほど頻繁にあることでもなかったらしく、担当先の倒産を経験した銀行員はそれほど多くはなかったようである。


 そんなこともあってパニックになったわけだが、そのころによく聞かされたのが以下のような話である。曰く、預金と貸出金の利ザヤが1%として、1億円の損失が出た場合にそれを埋め合わせるには、正常な貸出金を100億円上積みしなければならない、100億円の優良貸出金を損失計上した期中に積み上げるのは可能か否か、と。毎年、数千億の利益を上げて新聞の見出しに載るような金融機関ですら、このような状態である。ましてや、細かな利益を積み重ねて収益を上げているその他の産業においては、このような事態はどのように映るのであるか?


 筆者の友人から聞いた話であるが、あるアパレルメーカーでは、オマケの景品の単価を何十銭だか引き下げる交渉をするのが仕事だといっていた。一つの景品では高々1円にも満たない金額ではあるが、これが年間では数億円になるのだという。また、例として挙げるのに適切かどうかはわかりかねるが、昨今、大王製紙の御曹司が会社の金を使い込んだとして刑事告発され、逮捕された。その金額は106億円ほどのようである。これほどの大金を彼は、カジノですってしまったのだという。これは、他人(=法人としての会社)の財産を分捕って損害を与えたが故の刑事事件であり、同列に扱うのはふさわしくないかもしれない。しかしながら、収益を生む可能性のない分野に会社の金を注ぎ込んで損失を与えた、という点では変わりがない。その結末は役員解任であり、刑事事件として立件されて逮捕されてしまうのだ。


 ここまで書いてきたところで、今回も与えられた紙面がほぼ尽きて決まった。次回はSustainabilityをキーとしてCSRと金勘定について掘り下げて考えることとしたい。


筆者:円寂

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